比較枠について

こんにちは。

今日は毎年のように選抜の選考で物議を醸す比較枠について書いていこうかと思います。

 

・比較枠とは

2地区間で争われる選抜の枠のこと

関東・東京と中国・四国に1枠存在する

北海道・東北や北信越・東海も過去導入

まず2地区が比較枠を争う学校を選出

→その2校で比較検討される

 

・比較枠導入の経緯

かつては関東5・東京2と独立して枠配分

21世紀枠や神宮枠などの新枠導入

→流石に両地区から削ると角が立つ

→比較枠を設置し1枠削減に落ち着く

※中国・四国も同様(元々3枠ずつ)

比較枠は他枠との兼ね合いで生じた枠なので、決して本意で作られたものではありません。それもあってかマイナスなイメージを抱く人も多く、選考における問題点の一つにもなっています。ここからはその問題点について一つずつ見ていきたいと思います。

 

①選出の偏りが目立つ

そもそも比較枠のシステム上「平等に選出する」事自体難しいのですが、その前提があっても偏りが大きいという問題があります。

過去の中国・四国の比較枠を○×で示した表ですが、中国の○が14に対して四国の○が僅か2のみ。2014年以降は中国が連続して比較枠を獲得しています。ではなぜ中国にここまで偏るのでしょうか。

 

理由①県数の差

理由②1位校数の差

理由③地区大会の試合数の差

理由④地域性の差

一番の理由は①にあるように中国の方が四国より県数が1多いので、中国3四国2の枠の割合だとバランスが良いですよね。②と④は①の内容から派生する理由になっています。比較枠を得るには県順位や地域性が肝となってくるので、単純に県数の多い方が候補に好条件の学校が残りやすくなります。

 

そして極めつけは③です。四国大会は1位校にシードが与えられており(準々決勝が初戦)、比較枠の候補となる学校は準決勝敗退が大半なので大会1勝止まりの学校が候補になるケースが多いです。2位、3位校なら準決勝敗退でも大会2勝となるのですが、それだと県順位の比較で不利になる可能性が高いです。一方で中国はシードがなく比較枠の候補となる準決勝まで県順位に関係なく2勝が必要なので、戦績の部分において四国の候補よりも優位に立ちやすいと言えます。

 

これでも結果が伴っていればそこまで批判は多くないと思うのですが、表の通り中国の比較枠選出校は初戦敗退が目立ちます。ましてや比較枠で落とされるのは四国の実力校(明徳義塾など)という事も制度に対する風当たりが強い理由になっています。

 

②地区大会と都大会の比較が困難

次に関東・東京の比較枠についてですが、中国・四国のような極端な偏りはありません。しかし、東京大会は地区大会ではなく都内で完結してしまうので関東大会に出場する高校との比較を難しくしています。関東他県すれば「うちは県決勝進出+関東1勝なのに」となるのは当然の話で、その点を踏まえるとよほど関東と東京の試合内容に差がない限りは関東に比較枠が与えられても良いのでは?と個人的に思います。

以上が関東・東京の比較枠の表です。特徴として近年の関東の比較代表は神奈川勢の名前が多いですね。来年は横浜が予想されるため、ここ10年で半数を神奈川が占めるということになります。一方で東京は今年も含め二松学舎の準優勝が多い事から比較される機会が目立ちます。通算の比較枠獲得数は関東13回、東京7回とバランスは取れていますね。

 

しかし、バランスは取れていても時に「今年は東京(関東)じゃないのか…」と思ってしまうようなケースがあります。世間的に反響が特に大きかったのは2019年の選考ですね。

・2019年の選考

関東準々決勝(敗れた4校は県1位)

前橋育英1-9山梨学院(コールド)

東海大甲府4-8習志野

甲府は関東大会0勝

佐野日大1-8桐蔭学園

横浜2-9春日部共栄(コールド)

東京決勝

東海大菅生3-4国士舘

関東大会の準々決勝は大荒れで2試合がコールド。スーパーシードの東海大甲府も未勝利に終わり関東5枠目争いが難航。そして優勝した桐蔭学園に県大会で圧勝している横浜に白羽の矢が立ちました。地域性で佐野日大という人もいましたがここは実力差で判断したと思われます。

 

ただ関東5枠目がどこになっても決め手に欠けるため、東京決勝が終了した時点で「比較枠は東海大菅生だろう」という声が大半でした。しかし結果として横浜が史上初となる関東大会8強のコールド負け選出となりました。関東と東京のレベル差、エース及川の力量など成績のマイナス面を補う相応の理由付けがなされたとはいえ前例のない選考となりました。

 

それでも甲子園で結果を残せたら見立て通りとなり批判も抑えられたはずです。2010年の日大三が東京4強からの選出で選抜準優勝となったように横浜も期待されましたが初戦で明豊に13失点の大敗。そうなると選考への批判が再燃してしまい比較枠への疑問が噴出することとなりました。

 

また、今年の二松学舎も初戦で聖光学院に9-3の大敗。比較相手が前年度優勝校である東海大相模だった事もあり落胆も大きなものとなりました。表にもあるように比較枠の初戦勝率が近年下がっているので、○○の方を選んでおけば…となる年が増えていることも比較枠への批判に繋がっています。

 

次回は富山の推薦校が発表されたら北信越と関東の地区推薦予想記事を書いていきたいと思います。